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「お前なぁ! 朝はよ来いて言ったやん! 完全無視か!」
放課後、重たい足を引きずって部室に行き、ドアを開けるなり、この怒声。
なるほど、朝何か忘れていると思ったのはこれか。
中学2年の時に大阪から引っ越してきたこいつ、永瀬 茜とはその時からの友達だ。
正確には何故か茜が俺に付きまとってきたことから関係は始まったのだが。
それにしても、わざわざ部活の時間になるまで言うのを我慢していたのか。1年の時と変わらず同じクラスになったというのに。
今日1日、いつも通りに接してきていた茜に、もはや尊敬の眼差しを送りたくなる。
「朝何してたんや? 連絡もなしに、なぁ?」
「自転車屋に行った」
暗い笑顔で問い詰めてくる茜を避けて部室に入ると、机を4つを四角く向かい合うように並べたうちの1つに鞄を置くと、扉に背を向ける側の席に座る。
「自転車屋?」
茜は俺の正面の席に座ると、怒りの笑顔を消して、純粋な疑問として首を傾げた。
俺はパンク、と一言答えると、鞄の中から今日出た大量の宿題を出した。
面倒だ。実に面倒臭い。俺は宿題の山を枕にして寝ることに決めた。
宿題の上に突っ伏すと、すぐに眠気が襲ってくる。
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