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「俺は永瀬 茜。そっちのは如月堂 京星や。2人は?」
「私は卯月 華宵です。こっちの子は……」
「ま、松下 八重、です」
茜の自己紹介に、1年生の2人も自己紹介をする。
俺は顔を背けたまま、耳に入ってくる情報を何気なく聞いていた。
中学の時になかった天文部に興味を持ったこと、勧誘のチラシの絵に惹かれたこと、できれば入部したいこと。
「入部希望!? ホンマに? よかったな京星! これで廃部の話は無しや!」
煩く俺を揺り起こす茜の声は、今日1番明るかった。
元々、俺は部活に入る気などなかった。それに天文部だって存在しなかったし。
けれど俺たちが1年のときのある日の昼休みに、茜が天文部を創ろう! と言い出したのだ。
茜の行動力は中学の頃から知ってはいたが、まさかそう宣言した直後に職員室に連行されるとは思ってもいなかった。
その当時、3年だった先輩が3人入ってくれた。顧問を受け持ってくれる先生もすぐに見つかって、天文部ができた。
けれどその先輩たちが引退して卒業。流石に2人での部活は規定違反。即廃部のはずだった。
けれど茜の生徒会への直談判しに行った結果、新1年が入らず規定人数の4人を下回ったままなら廃部にして良いと。それまで待って欲しい、という申し出が通ってしまった。
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