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「う…………わぁぁぁぁ!」
空を見上げて、まだ小学校低学年だった俺は感嘆の声をあげた。
真っ暗な夜に、はっきりくっきりと見える、数えられないほどのたくさんの星。
寒い冬の中、吐く息の白さを忘れるほどに数多の星に目を奪われた。
「凄いだろう、京星?」
「うん! あそこにいっぱい星があるのは何?」
星がたくさん集まって川のように続いているそれを、俺は指差して左隣に立っていた親父を見上げる。
「あれは天の川って言うんだ」
「あまのがわ……?」
「そうだ。天にある川だ」
「天の川……」
俺は親父の言葉を繰り返し呟いた。
天の川を見上げて、親父と手を繋いでいない右手を、精一杯空に突き上げる。
届きなどしない。
届くわけないどない。
それでも伸ばしてみたかった。
子どもの俺の腕じゃなくたって、空に届くわけはないとわかっている。
でも、それでも綺麗な星を掴みたいと思った。
それを見た親父が、俺の手を離して肩車をしてくれる。
一気に空が、星が近くなった。
「おぉ~~! すご~い!」
俺ははしゃぎまくって、あまりはしゃぐと落ちるぞ、と言われた。
そうは言っても、こんな綺麗な星を観られる機会なんて滅多にない。
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