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俺はいつの間にか入部届けを書かれ、提出されていた。だから、廃部になるならなるで、別によかった。
なのに、自由なこの空間にわざわざ来てしまうのは、きっと居心地が良いからだろう。
「あぁ~、そんな話もあったな」
「お前絶対覚えてたやろ……」
俺は知らぬふりをしてすっとぼけた。
茜の冷めた視線なんて慣れたものだ。
「は、廃部に、なっちゃうん……ですか?」
「そうそう。部活の最低人数が4人やからな。このままやったら廃部。2人が入ってくれれば存続や」
腕を組んで頷きながら語る茜に、新1年はどんな顔をしているのだろうか。
ちょうど俺の前に立っている茜を見ることしかできない俺は、それでも振り返る気力がなかった。
もうダメだ。怠い。眠い。
俺は本格的に寝ることに決めた。
バシンッ!
「はよ起きろや」
「空気読めよ。今寝ようとしてたろ?」
ヒリヒリする。背中ヒリヒリする。
俺はもう寝るのを諦めて体を起こした。
そしてやっと新入生の2人を見ると、痛そう、と言いたそうな顔で俺を見ていた。
痛いけど何か?
いいよ、女は。茜は絶対女には手をださねぇもんな。
「もうちょっと加減しろよ……」
「いつまでも寝とるからやろ。はよ起きてお茶でも出したらんかい」
立ってるお前がしろよ、とは言わないでおく。
俺は大人しく席を立った。
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