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簡易キッチンスペースのある設備抜群の教室で、俺はお湯を沸かした。 「お茶、紅茶、コーヒー、ココア。どれ?」 俺は素っ気なく、3人に背を向けたままで聞く。 茜は2人を席に座らせると、何がいい? と丁寧に聞き直した。 「あ、えと……」 「遠慮せんでええよ」 「じゃあ、ココアを2つ」 俺はコンロの上の棚からココアと紅茶のティーバッグを2つ出すと、今度はその隣の棚から4人分のマグカップを出した。 俺と茜はいつも使ってるマイカップ。2人には客人用の新品のマグカップだ。 2つにココアの粉を入れ、2つにティーバッグを入れる。 お湯が沸くのを待ってから、全てのマグカップにお湯を入れた。 俺はストレート、茜は角砂糖を1つ。 ココアを持って席に戻り、新入生2人の前に置いた。 「ありがとうございます」 「あ、ありがとう、ございます」 「ん」 俺はもう一度簡易キッチンに戻り、紅茶を取ると砂糖入りを茜に差し出した。 「サンキューな」 「ん」 皆がふーふーと飲み物を覚ましている音が部活に響く。 3人が飲み始める中、猫舌の俺は未だに紅茶を吹き続けていた。 「普段クールな京星の猫舌と言う意外な一面やな。ギャップ萌えってやつやろ?」 「知るか」
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