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ーーピピピピピピピピピピ
「うっせぇ……」
朝、俺は目覚まし時計を止めると、2回目が鳴る前に起きた。
目覚まし時計をオフにして、制服に着替える。
いつものように洗面所で顔を洗って朝御飯を食べて部屋に戻る。
ベッドの上でスマホを弄る。
今日は何の連絡も入っていなかった。
強いて言えば、茜からおはよう、と来ていたぐらいだろうか。
俺は茜におはよう、と返すとスマホの画面を切った。
昨日、晩御飯のあとに慎兄ちゃんに隣で喚かれながら何とか終わらせた宿題を鞄に入れる。
慎兄ちゃんだって学生の頃は宿題サボってたくせに、何故か俺には宿題をしろと煩く言う。
どうせ、俺の親父に何か言われたんだろうけど。
俺は親父から貰った望遠鏡を見る。
一瞬、昔の俺と親父が笑いながら望遠鏡を覗いている姿が見えた気がした。
あるはずない。
そしてその時間はもう2度と戻ってこない。
あの日。俺が中学に入った4年前の昨日。
勝手に家を出た親父が、今どこにいるかなんて誰も知らない。
帰ってくると。必ず帰ると言ったのに。
きっとその時に俺のことをよろしくだとか何とか、慎兄ちゃんに言ったのだろう。
それまで仲良くしていた不良グループから抜けたのは、そのころだったはずだから。
慎兄ちゃんは知ってたんだ。
親父が家を出ることを。そして帰ってこないことを。
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