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「おはよう。いつもと変わらなかったろ」
「せやなぁ。他の人が見ても気づかんやろな。そやけど、これでも俺は京星の親友やからなぁ」
俺は伏せていた体を起こす。
目の前には満面の笑みで俺を見る顔があった。
「うぜぇ」
「照れんな照れんな」
「照れてねぇから」
「まぁ機嫌は治っとるみたいやし、ええけどな」
茜は俺の髪をクシャクシャとかき回して去って行った。
なんだったんだよ。
俺は髪を直して、また机に伏せた。
やっぱり、茜の勘の鋭さには敵わない。ふざけているようで、いつもしっかりと周りを見ている茜は、本当にいいやつだと思う。
でも、それでも言えない。
言わない。
中学のころから天文のことに触れなくなった事も、その理由も。
ーーキーンコーンカーンコーン
うだうだと考え込んでいるうちに授業開始のチャイムが鳴った。
俺は重たい体を起こして、机の中から教科書を出した。
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