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正面に座っていた卯月さんが身を乗り出して聞いてきた。 よくまぁ覚えていたものだ。どうでもいいことだろうに。 「ん」 「おぉ! ようやったな!」 俺としては褒められても嬉しくない。 むしろ昨日の慎兄ちゃんを思い出してげんなりする。 何回凄まれたことか……。 「まぁ京星はやる気があれば頭ええからなぁ」 「学年5位に入る茜に言われても」 「え、茜先輩そんなに頭いいんですか?」 卯月さんは何に対しても食いつきがいい。 そしてそれを全部笑顔で聞いている。 たぶん、何でも真剣に最後まで取り組むタイプなんだと思う。 俺はそんな卯月さんの顔を見る。 茜の成績自慢話を笑顔で聞いていた。 「京星先輩? 私の顔に何かついてますか?」 俺の視線に気付いた卯月さんは不思議そうに首をかしげてきた。 何でもない、と答えると、視線を落とした。 何というか、直視出来なかった。 卯月さんの不思議そうな視線を感じながら、俺は紅茶を飲みほした。 「2人は甘いもの好き?」 「甘いものですか?」 卯月さんの視線は、茜が話題を変えたことによってなくなった。 茜の質問に笑顔で返す卯月さん。 松下さんも、昨日より言葉に詰まらずに話していた。
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