ーー

7/14

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/170ページ
「なぁ京星。今日は……」 「いいよ」 「まだ最後まで言ってへんて……」 「甘いもの食いに行くから帰ろう。って言いたいんだろ」 ようわかっとるやん! と背中をバシバシと叩いてくる茜から逃げるように席を立つ。皆の空いたマグカップを持ってキッチンスペースへ行った。 昨日のように松下さんと卯月さんが手伝いを申し出てくれる。 「今日は掃除ええかな」 「別にいいんじゃない。ほぼ毎日してるし」 「お前は自分の部屋掃除しいや」 「……」 俺は茜の言葉を聞かなかったふりをして開いていた窓を閉めた。 俺たちは部室を出ると、鍵を閉めて職員室に向かう。 「2人も行くのか?」 「はい! 京星先輩は甘いもの苦手なんですか?」 「嫌いじゃない。いつも連れていかれるし」 「私は家がケーキ屋さんなんです」 隣を歩く卯月さんが嬉しそうに教えてくれる。 それに一番早く反応したのは茜だった。 当然だろう。なんてったって茜の好物は甘いものだ。 俺は小さくため息を吐く。 「茜先輩は本当に甘いものが好きですね。ちなみに和菓子はどうですか?」 「もちろん好きやで」 「わ、私の家は和菓子屋さんですよ」 「ホンマに!? 京星! 今度は2人の家に買いに行くのに決まりや!」
/170ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加