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「なぁ京星。今日は……」
「いいよ」
「まだ最後まで言ってへんて……」
「甘いもの食いに行くから帰ろう。って言いたいんだろ」
ようわかっとるやん! と背中をバシバシと叩いてくる茜から逃げるように席を立つ。皆の空いたマグカップを持ってキッチンスペースへ行った。
昨日のように松下さんと卯月さんが手伝いを申し出てくれる。
「今日は掃除ええかな」
「別にいいんじゃない。ほぼ毎日してるし」
「お前は自分の部屋掃除しいや」
「……」
俺は茜の言葉を聞かなかったふりをして開いていた窓を閉めた。
俺たちは部室を出ると、鍵を閉めて職員室に向かう。
「2人も行くのか?」
「はい! 京星先輩は甘いもの苦手なんですか?」
「嫌いじゃない。いつも連れていかれるし」
「私は家がケーキ屋さんなんです」
隣を歩く卯月さんが嬉しそうに教えてくれる。
それに一番早く反応したのは茜だった。
当然だろう。なんてったって茜の好物は甘いものだ。
俺は小さくため息を吐く。
「茜先輩は本当に甘いものが好きですね。ちなみに和菓子はどうですか?」
「もちろん好きやで」
「わ、私の家は和菓子屋さんですよ」
「ホンマに!? 京星! 今度は2人の家に買いに行くのに決まりや!」
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