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「京星、寒くないかい?」
「うん。ジャンパー着てるもん」
空を見上げながら親父の問いに答える。
今は寒さよりも上を向き続けて首が痛くなってきた。
「京星、星と距離はできてしまうが、寝転んでみようか」
俺はうん、と頷くと、親父は肩から俺を下ろした。
地面に足をつけて空を見ると、案の定星は遠くなった。
ここにおいで、と言ってブルーシートを敷いてくれた上に靴を脱いであがる。
親父が寝転ぶのを見て、俺もそれを真似た。
「京星、目を開けてごらん」
「う…………わぁぁぁぁ!」
本日2度目の歓声を上げる。
1面全部が星だった。
遮るものが何もないわけじゃないけれど、それでも本当によく見えた。
視界に映るのは星ばかり。
こんなにも明るいのに、どうしていつもは他の光に負けてしまうのだろうか?
「僕は昔、星はシャイなのだと思ったよ」
「しゃい?」
「恥ずかしがり屋さんのことさ。他の光に紛れて、それでも自分の力で光ろうと頑張っているように思えて、カッコいいなと感じたよ」
さっき俺が星は寂しいんだね、と言ったことに対する親父の意見だろうか?
まだ低学年の俺では少し難しい。半分ぐらいしか良くわからなかったし、その半分が正しく理解できているかも良くわからない。
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