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「たぶん、いつも行ってる店に行く気だと思うけど」
「ケーキありますか!?」
目をキラキラと輝かせて俺のほうを見る卯月さん。
俺は危ないから前を見ろ、と言って前を向かせる。
「その店に行くんだったらケーキはある」
「美味しいですか!?」
またキラキラとした視線を俺に向けてくる。
俺はため息を吐くと、注意するのを諦めて、ただ頷いた。
それを見ると、ちゃんと自分で前を向いた。
ワクワクとしたオーラが見える。
卯月さんは結構表情豊かだな。
そんなことを考えていると、次の曲がり角で危うく曲がり損ねるところだった。
「とーうちゃくっ!」
いきなり止まった茜に、松下さんの反応が少し遅れた。
何とかブレーキはかけれたが、止まりきれずに茜の自転車のスタンドにぶつかった。
その後ろから同じように止まりきれなかった卯月さんがぶつかった。
俺は止まる場所が分かっていたから、玉突き事故を起こさずに済んだ。
「茜。もっと前からスピード落とすとか、止まるとか言え」
「すまん……」
「す、すみません!」
「いやいや、俺が悪かった。2人ともケガとかしてへんか?」
「大丈夫です、すみせんでした」
松下さんと卯月さんが自転車から降りて、茜に謝る。茜は申し訳なさそうに2人を見ていた。
俺は自転車から降りて、駐輪場に自転車を停めた。
それに習って、3人も俺の隣に自転車を停めていく。
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