5人が本棚に入れています
本棚に追加
/170ページ
「2人は門限とかあるん?」
「私はないですよ。連絡さえ入れれば」
「私も、ないです」
茜は前に座る2人にいろんな話題を振って雑談に興じていた。
主にどうでもいいようなことを話しているのに、2人は茜の話に笑っていた。
俺は完璧に聞き役に徹して、自分からは話さなかった。ただ聞かれたら答えるだけ。
注文したケーキはすぐに運ばれてきた。
皆の前にそれぞれ注文したものが置かれると、手を合わせてから食べ始めた。
「んん~! 美味しい! ガトーショコラ最高」
「抹茶も美味しい」
美味しそうに食べる2人を、俺の隣に座る茜は嬉しそうにしばらく見てから、自分のケーキを食べ始めた。
俺もチーズケーキにフォークを入れる。
ふわっとしていてすぐに切れた。
「フルーツいっぱい! 美味すぎ……」
茜はいつもと同じようにケーキを頬張って幸せそうに笑っている。
その様子を何故か前の席の2人は頬を赤らめて見ていた。
「京星は? 美味いか?」
「ん。美味い」
こうやって聞いてくるのもいつものことだ。
「……何?」
俺は前からの視線に思わず首を傾げた。
「え? あ、いや! えっと……あ! そ、そのケーキ、美味しそうだなって思って」
何故か言葉に詰まりながらテンパっている卯月さん。
卯月さんの視線は俺のチーズケーキに向いていた。
最初のコメントを投稿しよう!