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「僕はあまり人の前に立つのが得意じゃなかったんだ。でも星を見て、前に立てなくても自分で納得のいくように光っていようって思った」
それから僕は自分を精一杯生きれるように、カッコ良くなれるように生きてきたんだ。
そう言った親父は、全てを理解しきれなかった俺でも、とてもカッコ良く見えた。
親父の目にも数え切れない星が映っている。けれど、それ以外のものも、俺が見えない何かも見ているように感じた。
隣にいる親父が遠くに行ってしまいそうな気がして、俺は親父の右腕にしがみ付く。
「京星も、強く生きるんだよ」
そう言って親父は俺の頭を、左手でクシャッと撫でた。
とても強くて逞しくて、頼りになる手。なのにとてつもない優しさがあった。
俺はそんな親父の大きな手を、あの時に観た星と一緒に、今もずっと覚えている。
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