ーー

2/10
前へ
/170ページ
次へ
ーーピピピピピピピピピピ けたたましく目覚まし時計が鳴る。 俺はそれをうつ伏せになって手探りで止めた。 そして目を開けて息を吐き出す。 「はぁ……。夢……か」 よく見る懐かしい夢。 俺は目覚まし時計から腕を離し、自分の髪をクシャッと掴む。 今度は目を瞑って息を吐き出した。 まだここに残るあの時の温もりを、俺は今でも覚えている。 腕の力を抜くと、重力にしたがってポフッと枕に腕が沈んだ。 髪がサラサラと指から離れていく。 ーーピピピピピピピピピピ うるせぇよ。 また腕を伸ばして目覚まし時計を止めると、起きてるっての、と毒突きながら体を起こす。 目覚まし時計をオフに設定すると、ベッドから降りて立ち上がった。 着ている少し大きめのシャツとズボンを脱ぐと、制服に袖を通した。 もう1年も着た制服に新鮮さは感じないけれど、着慣れたという不思議な安心感がある。 今日は高校2年の最初の登校日。 もっとわかりやすく言えばクラス替えの日とでも言おうか。 俺は誰と同じクラスだろうとどうでもいいが、皆は喜ぶイベントだろう。
/170ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加