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ーーピピピピピピピピピピ
けたたましく目覚まし時計が鳴る。
俺はそれをうつ伏せになって手探りで止めた。
そして目を開けて息を吐き出す。
「はぁ……。夢……か」
よく見る懐かしい夢。
俺は目覚まし時計から腕を離し、自分の髪をクシャッと掴む。
今度は目を瞑って息を吐き出した。
まだここに残るあの時の温もりを、俺は今でも覚えている。
腕の力を抜くと、重力にしたがってポフッと枕に腕が沈んだ。
髪がサラサラと指から離れていく。
ーーピピピピピピピピピピ
うるせぇよ。
また腕を伸ばして目覚まし時計を止めると、起きてるっての、と毒突きながら体を起こす。
目覚まし時計をオフに設定すると、ベッドから降りて立ち上がった。
着ている少し大きめのシャツとズボンを脱ぐと、制服に袖を通した。
もう1年も着た制服に新鮮さは感じないけれど、着慣れたという不思議な安心感がある。
今日は高校2年の最初の登校日。
もっとわかりやすく言えばクラス替えの日とでも言おうか。
俺は誰と同じクラスだろうとどうでもいいが、皆は喜ぶイベントだろう。
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