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俺は部屋を出て下の階に降りると、洗面所へ行き、顔を洗って髪をセットする。
別にピチッとセットするわけじゃない。少し髪を遊ばせるだけだ。
……前髪伸びたかな。
「京星~! 朝ごはんできたからねぇ~!」
リビングから聞こえてくる大きな母親の声。
朝から元気だよなぁ。
俺は洗面所の電気を消して出ると、リビングに向かう。
テーブルに置かれていたのは焼いた食パンにオレンジジャムを塗ったものと、2個入りラスクの袋が1つ。それと紅茶だった。
俺の好物ばかりだ。
なんだ、機嫌取りか? いやでも、最近は何もないぞ……。
「おはよう京星。今日からまた1年頑張ってね」
なるほど、頑張れっていうエールかよ。
「おはよう」
機嫌が悪くなりそうなのを抑えて、何とかいつも通りに挨拶をした。
別にそういうのはいらない。
俺は淡々と朝飯を平らげて、ご馳走様と手をあわせる。
食器をさげて、リビングから出ると洗面所へ行き歯磨きをした。
それが終わったらまた部屋に戻り、家を出る時間まではのんびりと過ごせる。
あと10分ぐらいしかないけど。
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