第2話 桶狭間通りの戦い

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第2話 桶狭間通りの戦い

「ふぁ~……。おはよう……」 パジャマ姿でリビングに来たアヅチは、大きな欠伸をしたあとに眠そうに目をこすった。 「もう9時じゃぞアヅチ。今朝はまた随分とたるんでおるのぉ。学校とやらはよいのか?」 「今日は日曜日だから学校は休みだよ。母さんも朝から買い物行ってるから、うるさく言われないしね。こういう時にのんびりしなきゃね」 そう言ってアヅチは食パンをトースターにセットして、コップに注いだ牛乳を飲み始めた。 「まったく……。よいかアヅチ。武士たるもの、常日頃から規則正しい生活を心がけてだな……」 吉法師の説教が始まると、家のインターホンが鳴って吉法師の言葉を遮った。 「誰だろう……? はーい、今いきまーす」 邪魔されて少し膨れている吉法師を放っておいて、アヅチは小走りで玄関へ行った。 扉を開けると、ひとりの少年が玄関前で正座して待っていた。 「……え、えっと……、どちら様……?」 「お初にお目にかかります! 拙者、日吉丸と申す者でございます!」 日吉丸と名乗る少年は黄色を基調とした和装をしており、見た目通り明るく元気いっぱいに答えた。 「は、はぁ……。それで、何の用かな?」 「よくぞ聞いてくださいました! 実は折り入ってご相談したいことが……」 「アヅチー、食パンが焼けたようじゃぞー」 リビングから聞こえる吉法師の声で、日吉丸の言葉は遮られた。しかし、日吉丸は気を悪くした様子はなく、むしろ別のことに気を取られていた。 「しょ、食パン……!」 日吉丸はヨダレを垂らしながら、目の前のアヅチだけでなく、リビングにいる吉法師にも聞こえるのではないかというくらい、大きな腹の音を鳴らした。 「……良ければ、中で食べながら話さない?」 「よ、よいのでございますか!?」 日吉丸の物凄い食いつきにアヅチは若干引きつつも、日吉丸を家に招き入れ、リビングまで通した。
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