第一章

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第一章

 ドッガァアアアン!! と空気を振るわせるような音と衝撃が辺り一面にまき散らされる。  そこにあったのは何台ものひしゃげた自動車だ。フレームからダメになっているものもあれば、一部が損壊しているだけのものもあるが、いずれにしても被害が大きいのが見て取れる。  そして、そんな事故を目撃している小学生ほどの少年少女がそこには存在していた。 「すっげー!! 事故だぜ、事故!! 初めて見た!!」  鼻に絆創膏を付けた勝ち気そうな少年は今にも飛び上がりそうな態度で、興奮し目を輝かせていた。どうやら、事故など起こりえるはずのない現代において実際に見られたことに感動しているようであった。 「もっと近づいて見ようぜ!!」  その少年――中部(ちゅうぶ)ユウは好奇心を高ぶらせながら、自身の友人であり、一緒に下校している最中だった少年と少女へと視線を向けた。  しかしながら、長い漆黒の髪をした少女は首を横に振ってユウの提案を否定する。 「やめようよ……ええと、大人の人を呼んだ方がいいんじゃないかな?」  その考えは至って普通のことであった。     
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