2.名無しのスライム

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2.名無しのスライム

『すみません、理由はお教えできません』  え、えぇー!!  めっちゃ親切そうに登場しておきながら、教えてくれないの?!  あんなに思わせぶりなこと言っといて?! 『ボクすっごく困ってるのに! いじわる! オニ! あくま!』 『ぅぐっ……!!』  あ……泣かせちゃった……。  わ、悪いことしたかな。 『私も……お教えしたいのは山々なのですが……制約があってですね……ううっ』 『そ、そうなんですか。いじわるとか言ってごめんなさい……』 『いえ、いいんです。貴方は事情も分からないのですから、理不尽だと怒るのも当然ですよね……』  ありゃ、ホントは良い人っぽいな……。  情緒不安定なヤンデル美形かな~とか思ってたけど訂正しておこう。 『じゃあ、あなたはどうしてボクの前に?』 『先程尋ねられた理由(・・)はお教えできませんが、せめて私の説明できる範囲で状況などをお教えできればと思いまして……。貴方は今、知識はあるけれど記憶は無い。そのような状態ですよね?』 『そうなんです。気がついたらスライムになってて……。ボク、元からスライムってわけじゃないですよね?』     
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