17章 想いすぎるからこそ

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「藤沢さん目線をこっちにお願いします」 そう指示された通り、身体の向きはそのままで、俺は顔だけをカメラに向けた。 11月初旬── 高視聴率をキープしたままの連ドラと売り上げ好調の俺の写真集。 一皮剥けた藤沢 聖夜。大人としての役者の意気込みみたいなのを語らされるために雑誌の取材を受けている最中だ── 対談式に進められるインタビュー内容はやっぱり恋愛の話も吹っ掛けられるわけで…… 「ドラマの影響で大人の女性ファンもかなり増えてきたようですが──歳上の女性に対しての印象は?」 「俺は恋愛で年齢を気にしたことは一度もないですね」 正直な話だ── 役者は自分の年齢と同じ役をやる訳じゃない。その度に違う設定、違う年齢を演じれば、相手の年齢なんて気にも止めなくなる── 「では、歳上女性も大歓迎ということで?──」 「もちろん!寧ろ結構な歳上がタイプかもっ」 笑ながら語る。これはもちろん新しく増えたファン層へのリップサービス。 今回の取材社はアラサーをターゲットにした月刊のファッション誌だ。働く独身女性の多い時代、会社の上司が彼女だったりと、年上彼女・年下彼氏が主流になりつつある。
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