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手強い恋人にヤキモキしながら作戦を必死に考える。
「夏希ちゃん」
背中を向けたままの俺に晶さんが呼び掛けた。
「部屋には入ってないけどマンションの前までは行ったよ…」
「………」
「見に来てって言われても一人で部屋まで入る勇気はないし…行くなら初めは夏希ちゃんと一緒じゃないと…」
「………」
「ちがう?」
「………」
「マンションの前に行って二人で一緒に過ごす想像もちゃんとしたよ…」
「どんな想像?」
振り返った俺に晶さんは、んーと少し考える顔を見せた。
今、必死に想像しているのが丸わかりだ。
「……夏希ちゃんところはたぶんダブルのおっきいベットだから二人でゆっくり朝寝するイメージとか…」
「……ハズレ、うちキングサイズ…」
「…じゃあ、夏希ちゃんのパジャマの上下二人で分けて着て、あたしは上だけで冷蔵庫覗く時パンツ見えるとか…」
「………それは予定に入ってる」
「………そですか…」
「他には?」
俺は体の向きを変えて晶さんと向き合った。
「他には…やっぱ裸にエプロンか…」
「それは確実に実行する」
言いきった俺に晶さんはプッと笑っていた。
「ほんとにマンションまでは行ったの?」
「行ったよ。オシャレなマンションだね、夏希ちゃんこっちに入り浸りで住まないって勿体ない…」
俺は晶さんの瞳に掛かる前髪をとかして耳へと流した。
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