17章 想いすぎるからこそ

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・ 「勿体ないけどあそこに晶さん居ないから──…晶さん居ないとこに居たくない」 「………」 「夏希ちゃんて寂しがり?」 「……違うよ」 「………」 「晶さんだけ──…俺を寂しくさせるのは晶さんが居ない時だけ」 「スキスキ病だね」 「うん…もう末期だから」 「そか…」 「うん、だから俺のマンションで晶さんと余生を過ごす」 俺はクスクス笑う晶さんをゆっくりと胸に抱き締めた。 「晶さん、今度の休みはいつ?」 「……?」 「俺、休み合わせるから今度は俺のマンションでご飯作って食べよ?」 「………」 「いや?」 晶さんは微笑んで首を振ると俺の背中に腕を回してきた。 「いやじゃないよ。すごい楽しみ」 俺の胸に埋もれて声が隠る。 「じゃあ買い物も一緒に行こ?」 「うん」 胸元に踞る晶さんを抱き寄せて予定を練る。 あのCMが流れてしまえば晶さんはもう一般人では居られない。だったらいっそマスコミに二人の付き合いを公に暴露してやるさ。
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