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色々と物思いに耽り、ソファに深く身を沈めると書類を手にする社長が目に止まった。
「社長──」
「……?…」
「……晶さんの元カレ知ってる?」
書類から顔を上げた社長に何気に聞いていた。
「…ああ、なんかバカデカイ奴だろ?それがどうした?」
「……別に…どのくらい付き合ってたんだろうって…」
ちょっと…
かなり気になった…
「確か高二からだったぞ?晶に初彼ができたってあれの母親がわざわざ電話してきたからな?」
「初彼?」
「卒業と同時に別れてるから、んな、長くはなかったな」
「………」
「別れて一年はボロボロだったけど…」
「──……」
ボロボロ?──
書類をまた眺め、笑っていう社長の言葉がひどく胸に引っ掛かる。
ボロボロ……
…っ…そんなに好きだったんだ…
そういった思いが俺の中で渦を巻いた──
別れた相手なのに負けた感じがするのは多分にそこからきているのだろう…
晶さんはまだ俺に本気になってくれていない──
それは、いざ何かあったら何時でも身を退こうとしている晶さんの心がたまに垣間見えるからで…
だからこそ、その度に俺はあの人が離れて行かないように毎回必死になって繋ぎ止める──
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