灯台守の少女

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 額に汗を滲ませながら灯台の世話をし、それが終われば今度は家の掃除や洗濯をする。そうして忙しく働いているうちに、あっという間に陽が落ちて、灯台が遠くの船に帰るべき場所を示し始める。  夕食を済ませ寝支度を整えた少女は、カーテンの隙間から海を眺めた。帰港する船の微かな灯りがいくつか見えた。 「……」  少女は物憂げに一度目を伏せ、それから机の上にあった小箱を手に取った。  宝石箱のような形のそれの蓋を開け中のぜんまいを巻くと、静かな旋律が流れ出した。箱はオルゴールだった。  音楽に耳を澄ませながら、少女はもう一度目を閉じた。  このオルゴールを聴く度、瞼の裏に浮かぶ彼の姿。
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