エピローグ 藁の人形

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でもそうだとして私はあなたを許してあげる。あなたもまた許してくれるのなら。でもそうはしてくれないのよね、あなたはそういう人だもの。 私が彼らのことをこんなに想い、四六時中彼らばかりのことを話したところであなたは嫉妬もしてくれないのよね。世界で私くらいよ?嫉妬を喜んで受け入れようとしてくれる人なんていうのは。・・そうでもないのかしら?そういう願望ってありがちなものなのかしらね。 ほら、そんなことを言ってみてもあなたはなにも思ってくれないでしょう?そうやって聞いたそぶりを私に見せてくれるだけ。 あなたって本当に・・、いいえ、あなたの悪いところを見つけようとしてしまおうとするなんて愚かなことよね。何にもならないどころか誰のためにもなりはしない。 そうよね。私たちは建設的な話をしながら楽しいことを考え、想像していくべきなのよ。そのほうがずっと有意義なんだら。 あなたは表情をまるで変えもしないものだけど、きっと私ではそのような、建設的な話もできないだろうなんて思ってはいないかしら?でもあなたは知っているものね、私だってちゃんとそういう話ができるってこと。 例えば悲惨な人の話を聞いたなら、それを大事に迎えた上、何度も思い返すなどして忘れないようにしてあげないといけないっていうそんな話を聞いた覚えはまだあるわよね。例の二人にもいつか教えてあげたいようなもの。 彼らならこれを何百回聞いたかもしれないあなたとは違い、どうしてそうする必要があるものか神妙な顔をしてこの話を聞いてくれるものと思うわ。 生きるための術だもの。人はできるだけ長く生き、無事に生き続けることが使命みたいなものでしょう?幸せに暮らすとか好きな人と一緒になるべきなんてものは人が勝手にそう言っているだけ。本当のところはそうなのよ。それで十分。 だからそれすらも果たせないなんてことにならないための方法は積極的に学んでいかないといけないわ。 人というものはもろく壊れやすいものだもの。その身体もその内に抱え込んでいるものもまた意外なほどあっけなくね。だからこんな人の話をね、聞くべきなの。誰においても積極的に。世界に存在しなくてはならないような例の二人なら特に。
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