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楓は私を外の世界へ誘った。
「美味しいカフェがあるんだけど行かない?」
「いきたい!」
にこりと微笑むと楓は私を外の世界へ連れ出した。彼女の住んでいた町、そしてこれから私が暮らしていくこの町は活気であふれていた。家を出て歩いて五分ほどたっただろうか。
「ここだよ!」
と楓は言った。その店はどこか落ち着きがあって何となく知っている店だなと思ってしまった。
「どう?ここ実はね恵美の好きだったカフェなんだ」
ぽつりと呟いた楓はどことなく寂し気で私はその顔を見る勇気がどうしても持てなかった。
だからだろうか
「早く入ろうよ!何か思い出せそう!!」
思い出したくなんかないと思っている自分の記憶を思い出したいなんて思ったのは……
そして、私からその手を引っ張ったのはきっとそのせいだ。
きっと楓がかわいそうだったからに違いない。
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