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シェアメイト募集
物心ついた時から、不思議なモノが見えていた。それは、たぶん妖精とか幽霊とかいわれるものの類で。
自分にしか見えていないのだと知った時の絶望は、今だに忘れたことはない。
見えているだけならいいのだけれど、たまに悪夢を見る。魘されて、夜中に目が覚めて、結局朝まで眠れない。何度かカウンセリングをしてもらったけれど、症状が良くなることはなかった。
決まって言われるのは、「妖精やドラゴンはいない」という冷めた一言だった。
***
エリザベス・クリストファーは、新しいフラットを探していた。今度の派遣先は、今の職場よりも遠い所で、引越しをしないと通えない。
しかし、ロンドンの単身者向けのフラットの家賃は年々値上がりするばかりで、ちょうど良い広さの部屋がなかなか見つからなかった。
この際、ルームシェアでもいいか、と友人たちにシェアメイトを探している人物がいないか、探してもらうように頼んだ所だった。
流行りのコーヒースタンドで、ダークチョコレートと豆乳入りのコーヒーを頼んで、カップを持って店を出た。季節は秋口で、なんとなく肌寒く空はどんよりとしていた。ホットのコーヒーを一口飲んで、冷えた身体を温める。
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