フィールドワーク

2/4
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ
「別に、ここら辺では珍しいことではないわ」 ね、とストラス夫人はマリアに同意を求めた。 「確かにお隣には、ゲイの夫婦が部屋を借りている」 マリアは、淡々と事実を答えただけだが、ストラス夫人はさらに笑みを深くした。 「恥ずかしがることなんてないのよ」 エリザベスが、訂正しようと口を開くとタイミングよく、携帯の呼び出し音が鳴った。 散らかったテーブルの上から、スマートフォンを取り、マリアが電話に出た。 「場所はどこ?五分で行く」 マリアは、通話を切ると壁にかけてあった、小さな肩掛けカバンを取りスマートフォンをしまった。コートかけにかけられていた薄手のベージュのトレンチコートを着た。 出かける準備のようだ。 「アマンダ、ぼんやりしてるとデートに遅れる。その彼氏と結婚したいなら遅刻は厳禁。ストラスさん、私はこれから出かけます。夜は遅くなると思います」 さっそうと鞄を持って部屋の出口までマリアは歩きながら、アマンダとストラス夫人を部屋から追い立てる。 「リジー、良かったら座ってて。三階のベッドルームはすぐに使えたはず」 マリアは、暖炉の前のソファを指して早口でまくし立てるマリアを、呆然とみていた。     
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!