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どうやら疲れからか眠気からかあらぬ所で眠りこけていたようだ。彼が私の顔を覗き込んでいた。
「・・・ごめん・・・寝てた」
「知ってる。幸せそーに寝てたな。いびきまでかいちゃって」
「へぁっ」
慌てて口を抑えると彼は悪戯っぽく笑って私を引っ張り起こした。
「じょーだん。寝息かわいーな」
「・・・んもぅ」
眉を顰めると彼はケラケラ笑っていた。こんなとこで寝てた私が悪いので今回ばかりはからかわれても大して文句も言えない。
「・・・折角・・・良い夢見てたのに」
「へぇ、どんな夢?」
「・・・・・・・・・・・・忘れた」
「まあ、夢ってそんなもんだよな」
「だけど、すっごく幸せな夢だったの」
無理やり起こしたことへの不満も込めて言ったのに彼はまるで意に介さず、ニヤッと笑った。
「別にいいだろ。夢なんか」
「よくないの! ・・・今からでも続きを・・・」
「おいおいおい」
彼の手を振り払ってもう一度夢の続きを見ようと目を閉じたら彼は慌てたようにもう一度私の手を掴んだ。
「こんなとこで寝るなって」
「夢の方が・・・しあわせ・・・zzZ」
「・・・じゃあ、」
「ふみゅっ」
フニッとほっぺたを両側から抓られて私はまどろみから引き戻された。
「俺が現実を夢より幸せにしてやるから」
「・・・へ?」
「だからもう寝るなよ。夜まで我慢!」
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