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第一話
急に降り出した雨のため、慌てて雨戸を閉めに行った下働きの娘のおきみが、眉を顰めながらそわそわと戻ってきた。
「……ご新造さん、表の門のとこにお武家の方がおられるんじゃが」
声を潜めて、おきみは囁いた。
器量はたいしたことはないが、町家の娘にしては無駄口も叩かず黙々と働く。
人付き合いの苦手な小夜里にとっては都合がよかった。
おきみにいい話が来て嫁ぐまでは通ってもらおうと心積もりしている。
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