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「いいかっ、俺が関わったのは女2人だけじゃねぇっ! もう2人、男と女の殺しにも関わった。 先ずっ、その男ってのは、元は芸人だった芸能プロダクションの社員で。 あの芸能プロダクションの大手“月形事務所”の副社長って、代表の弟に当たる“月形 滿”(つきがた みつる)の誘いで殺ったんだ!」
対面に座る里谷刑事より。
「何で殺す訳?」
「アイツの疑惑は、あんた等でも知るぐらいに有名だろうがっ。 月形は、自身も麻薬を嗜むしよ。 売れないアイドルで気に入った女を囲っては、薬中にして突然死させてンだよ。 その事実を、アイドルのマネージャーをしていた元芸人の男にバレてな。 公にしたくないから俺と売れない芸人の朝生(あそう)ってヤツを金で誘って、殺させた」
「ガセ臭いわね」
「ガセじゃねぇっ! 俺のスマホからブックマークに入って、【アリカモドーガ】にアクセスしろ。 預けてあるファイルの中で、【金蔓】のファイルの中にその映像も入ってる。 ペンと紙を貸してくれ」
記録係の職員からペンと紙を借りて渡せば、パスワードを書き始めた波子隅。
「後に金をせびる目的で隠し撮りしたが、あの月形は金を寄越す代わりに俺を便利屋にしてる。 あ、それから、そのファイルの中には女子高生を抱いた映像も入ってるっ」
「あんたぁっ、そんな映像まで撮ったのぉ!?」
里谷刑事が怒り、波子隅は身動ぎ身を引いて。
「い、いやっ、後でピンク映像で売れると思ったんだ。 俺は、ほぼ画面に入ってないからよ」
怒髪、天を突く。 里谷刑事が大激怒し掛けた時に。
「で? 何で売らなかったのさ」
覚めた木葉刑事が問う。 拳を握り締めた里谷刑事だが、木葉刑事に肩透かしを食らった様に怒りを呑み込んだ。
「あ・・、嗚呼。 実は、殺されたあの女がよ、女子高生が自殺した事を教えてきてな」
“波子隅さん、あの娘が自殺しちゃったのよ。 あの時に撮った映像、世間に出したら貴方の身がヤバくなるわよ。 この家、後一年かそこらで引き払うから、それまでは映像を出さないでね。 代わりに、別の家の情報をあげるわ。 貴方がその気ならば、お客さんの仲介料を上乗せで払うわよ”
「こう言われたからだ」
パスワードを書き終えた波子隅が、紙を木葉刑事に出す。
受け取る木葉刑事だが、波子隅を醒めた眼で見詰め。
「ふぅん、や~っぱり知ってたんだ。 あの女の子が、自殺したことを」
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