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となりのくにの、やさしいウマのおうじさまが、いつものように、ウマのおひめさまのところへあそびにきました。
くちには、おはなをくわえていました。
そして、おへやへとびこみました。
「ひめ、おたんじょうびおめでとう。」
そこには、クリームいろのかわいいけなみのおひめさまがいました。
「となりのおうじさま、あとにしてくださいますか?わたしはおでかけしますので」
となりのおうじさまはこまりました。
だって、おしろのそとにはおひめさまをいわうためにきた、たくさんのウマがならんでいたからです。
そんなことはおかまいなし。
おひめさまは、となりのおうじさまに、かおのかくれるしろいレースのはなのかんむりと、マントをきさせました。
そして、
「これでおねがいね。」
といって、まるまるとふとった、おいしそうなニンジンをわたしました。
しかたないな~と、となりのおうじさまはニンジンをむしゃむしゃとたべました。
すると、とつぜんおしろのもんにむかってはしりはじめました。
そして、どかん!と、おしろをとびだしていきました。
ならんでいたウマたちは、いそいでおいかけていきました。
そのすきに、おひめさまはおしろのうらからとびだしていきます。
「かたくるしいごあいさつなんてごめんだわ」
さわやかなかぜがからだをかるくし、さわさわとささやくそうげんをかろやかにかけていきます。
「みんなかえったあとに、おとうさまとおかあさまと、となりのおうじさまにいわってもらえればいいわ」
おひめさまのたてがみは、まるで宝石をちりばめたシルクのように、かぜにまたたいていました。
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