たんじょうびだってさ!

2/7
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/8ページ
となりのくにの、やさしいウマのおうじさまが、いつものように、ウマのおひめさまのところへあそびにきました。 くちには、おはなをくわえていました。 そして、おへやへとびこみました。 「ひめ、おたんじょうびおめでとう。」 そこには、クリームいろのかわいいけなみのおひめさまがいました。 「となりのおうじさま、あとにしてくださいますか?わたしはおでかけしますので」 となりのおうじさまはこまりました。 だって、おしろのそとにはおひめさまをいわうためにきた、たくさんのウマがならんでいたからです。 そんなことはおかまいなし。 おひめさまは、となりのおうじさまに、かおのかくれるしろいレースのはなのかんむりと、マントをきさせました。 そして、 「これでおねがいね。」 といって、まるまるとふとった、おいしそうなニンジンをわたしました。 しかたないな~と、となりのおうじさまはニンジンをむしゃむしゃとたべました。 すると、とつぜんおしろのもんにむかってはしりはじめました。 そして、どかん!と、おしろをとびだしていきました。 ならんでいたウマたちは、いそいでおいかけていきました。 そのすきに、おひめさまはおしろのうらからとびだしていきます。 「かたくるしいごあいさつなんてごめんだわ」 さわやかなかぜがからだをかるくし、さわさわとささやくそうげんをかろやかにかけていきます。 「みんなかえったあとに、おとうさまとおかあさまと、となりのおうじさまにいわってもらえればいいわ」 おひめさまのたてがみは、まるで宝石をちりばめたシルクのように、かぜにまたたいていました。
/8ページ

最初のコメントを投稿しよう!