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フランスの高級ホテルのロイヤルスイートルームのような寝室。
もし選択権があるのならば、オレは絶対にこういう部屋には泊まらない。
白い彫像や花瓶、絵が置かれていて、女性が喜びそうな少女チックな雰囲気が苦手だから。
ベッドだって天蓋がある広くて立派だけど、フリルやレースがあるのが…なぁ。
「相変わらずスゴイ部屋だな」
「まあ母の趣味だからね。でも使い心地は良いだろう?」
丁寧にオレの体をベッドに寝かせながら、美園は妖しく笑う。
確かにシルクのスベスベ感は気持ち良いが…。
「…どうせグチャグチャにするクセに」
「そうだな」
美園はクスクス笑いながら、オレに覆い被さってきた。
「そのぐらいわたしを夢中にさせる柚季が悪いんだよ」
「ぬかせ」
それ以上聞きたくなくて、オレは自ら美園にキスをする。
最初は弾むように、何度も唇を合わせた。
でも自然と互いの唇は開いてきて、二人何も言わなくても自分の舌を出して、絡ませた。
「んんっ、ふぅん…」
甘い声が鼻から抜ける。
美園の舌がオレの舌と絡みながら、口の中を舐めていく。
注がれる唾液が甘くて、頭の中がぼうっとしてくる。
痺れるような甘さが、頭の天辺から足の爪先まで駆け抜ける。
オレがキスの甘さに酔いしれている間にも、美園の舌は口の中を動く。
歯茎、頬の内側、上顎、そして舌の裏側まで余すところなく、美園はオレの口の中を味わう。
じゅぷ…くちゅくちゅ
静かな部屋の中に、唾液の絡まる音が響く。
何か耳の中まで、美園にいじられているみたいだ。
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