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それは今の自分とよく似ていた。
人と付き合うことを自ら避けて、心を閉ざす。
美園自身が、まるで物言わぬ芸術品の1つのようだった。
「美園はさ、誰か好きな人でも作った方が良いんじゃないか? せっかくキレイな顔しているんだし」
「そうだな…。じゃあ、柚季にしようかな?」
ブーっ
飲んでいた紅茶を、思いっきりふき出した。
「げほげほっ。いっいきなり何言い出すんだよ! オレは男だし、それに小学生だぞ! お前は変態かっ!」
…当時のオレって、本当に怖いもの知らずだったよな。
眼の前にいる人に、『変態』と言えたんだから。
まああながち、間違ってもいなかった。
何せ美園の答えは…。
「ああ、そうかも。柚季のことを気に入っているし」
そう言って手を伸ばし、オレの後頭部に触れた。
「んっ!?」
と思ったら、いきなり引き寄せられて、テーブル越しにキスをされた。
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