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「柚季はどう? 気持ち悪い?」
「気持ち悪くはないけど…。でも付き合うって言ってもオレの家、転勤族だし滅多にここに来れないぞ?」
「待つよ。後は手紙や電話やメールで我慢する。待つのは慣れているしね」
そう語る美園の笑顔があまりに弱々しかったから…。
「…分かった。じゃあこれからよろしくな」
…と、友達より先に、恋人ができてしまった。
しかもかなり年上の同性。
でも…キスがとても気持ち良かったから。
その気持ち良さに負けてしまったのかもしれない。
その後、長い休みの時は両親に無理を言って、ここを訪れるようにした。
だからだろうか?
海外赴任の話が出た時、両親が祖父の家へ預けると言い出したのは。
オレがここを気に入っているか、祖父達を慕っていると、両親は思ったのかもしれない。
まあそれも間違いではない。
でもやっぱりオレは、美園の傍にいられることが嬉しかった。
美園は恋人になった途端、とても小学生相手にしてはいけないことばかり、するようになった。
慣らされてしまったオレもオレだけど…。
やっぱり快感には弱い。
だがっ! それと友達作りとはまた別!
けれど美園にのめり込めば、友達作りは遠ざかる一方…。
「はぁあ~。オレ、一生友達できないのかな?」
最近浮かび上がる不安は、美園の笑みを見るたびに大きくなっていった。
【完】
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