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「ちなの事を特別だって表したくて、千夏じゃなくて、ちなって呼ぼうって」
少し照れたように、こんな話を暴露するつもりなどなかったのか、涼真はクスリと自嘲気味な笑みを漏らした。
「じゃあなんで?」
この何年どうしていってくれなかったの?
そんな気持ちが頭をよぎる。
「お前はさ、俺にはなんの興味もなさそうだったし、同期っていいねってことあるごとに言ってただろ?」
「そうだっけ?」
あの頃は同期のみんなで集まったり、遊んだりすることが本当に楽しかった。
「俺もちなのそばにいられれば良かったし」
その言葉に、私もずっとそう思っていたことに気づいた。
同期の関係を壊して、一緒にいられなくなるぐらいならこのままでいい。
そんな事を思っていた。
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