2922人が本棚に入れています
本棚に追加
「ちな、今日の夜飯行ける?」
終業時間も過ぎ、つい仕事に没頭していた私はその声に振り向いた。
「涼真……おつかれ。もうこんな時間だったんだ」
くるくると首を回して、小さな息を吐いた私に涼真はクスリと笑いを漏らした。
「おっさんみたいだぞ」
その言葉に、内心ズキッと心が痛む。
「い……いでしょ。肩が痛いんだから……」
最後まで言葉を言おうとしたところで、涼真の手が私の肩に触れた。
「うわーお前これマジでやばいよ」
心地よくマッサージをしてくれているはずなのに、涼真の手にドキドキが止まらない。
振り払うのもわざとらしいしと、私はなんとか、強がって言葉を発する。
「ちょっと!痛い痛い!もう少し優しくしてよ」
本当は羞恥で真っ赤のはずだが、痛みのせいにして私は俯いた。
「はいはい、これぐらい?」
俯いて髪で顔を隠して、私は小さく頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!