片思い

8/13
前へ
/105ページ
次へ
「ちな、今日の夜飯行ける?」 終業時間も過ぎ、つい仕事に没頭していた私はその声に振り向いた。 「涼真……おつかれ。もうこんな時間だったんだ」 くるくると首を回して、小さな息を吐いた私に涼真はクスリと笑いを漏らした。 「おっさんみたいだぞ」 その言葉に、内心ズキッと心が痛む。 「い……いでしょ。肩が痛いんだから……」 最後まで言葉を言おうとしたところで、涼真の手が私の肩に触れた。 「うわーお前これマジでやばいよ」 心地よくマッサージをしてくれているはずなのに、涼真の手にドキドキが止まらない。 振り払うのもわざとらしいしと、私はなんとか、強がって言葉を発する。 「ちょっと!痛い痛い!もう少し優しくしてよ」 本当は羞恥で真っ赤のはずだが、痛みのせいにして私は俯いた。 「はいはい、これぐらい?」 俯いて髪で顔を隠して、私は小さく頷いた。
/105ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2922人が本棚に入れています
本棚に追加