気がつけば・・・愛 想いは溢れて

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・・・ 「緊張する」 湯船に浸かってぼんやり天井を眺めていると 自分の置かれた立場を思い出した 。 夕食の後に“とりあえず”と 近くのコンビニへ買い物に出かけた 下着とメイク落としと‥ 簡単なメイク道具と‥ カゴいっぱいの荷物を 持ってくれたのは良憲 濃紺の作務衣姿がカッコよくて 何度も見つめては目が合って微笑む 何より驚いたのは 寺に続く道を少し手前で曲がると 車で寺まで着けるということ 「いつでも階段って訳じゃないですよ」 ククと笑った良憲は 一度過呼吸で倒れたことを思い出していると 繋いだ手を引き寄せて頭にキスを落とした それから・・・ お先にと押し問答の末に 先にお風呂へ入った私 「泊まるってことは・・・ そういうことだよね」 結婚していたのに 恥ずかしいなんて言ってられないけれど もう何年もそういうことをしていないし 今思えば元夫にしてみれば別れる予定の偽装結婚で 下手に手出しするつもりも無かったのか 結婚17年間で一緒に寝たことは一度もない でも、そういうことはあったけれど 比較も出来ないから分からない そんな私が良憲を満足させられるだろうか “割り切った関係” 良憲の話した過去を気にしている自分 ハッと気づけば 指先がシワシワになる程 湯船の中に居て 重い気分と重い身体を ゆっくりと引き上げた
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