おばあちゃん

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私が高校生になる頃、おばあちゃんは転んだかなんだかで買い物にも行かなくなった。 ただ、あのイスに座ってずーっと天気予報を見て、雨がふらないか心配していた。 おばあちゃんは外に出ないから気にしなくてもいいのにと私は思っていたが、おばあちゃんは雨がふるとあまり元気がなくなるから、なんとなく私も雨はやめて欲しいなと思った。 おばあちゃんは雷雲が見えるとお線香に火をつける。昔なんで?と聞いた時、線香の煙で雷雲を追い払っていると話していた。昔からの言い伝えだった。 昔からの言い伝えはおばあちゃんからたくさん教えて貰った。 霊柩車を見たら親指を隠しなさい。夜中に爪を切らないこと。お墓で転んだら3年で死ぬこと。お墓から帰る時は後ろを向かないこと。 沢山聞いたので、私は他の友達よりちょっとおばあちゃんの知恵袋力が高かった。なにか使えるものがあったかといえば特に無かったが… でも、おばあちゃんからなにかを教えてもらうのは嫌いではなかった。沢山知識があることはいい事だし、自慢になる。 でもおばあちゃんと話をするのは苦手だった。 話を盛り上げようとしてもあまり盛り上がらない。 おばあちゃんもあまり笑わないタイプだったから楽しいのか分からなかったし… おばあちゃんは私の話をふんふんと聞いてくれていたが、私が望むようなリアクションをしてくれたことはあまり無かった。 だから私はあまりおばあちゃんと話さなくなった。
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