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「ねぇ、友達になってくれる?」
それが、『ともちゃん』のお決まりのセリフだった。
ある日、木々が生い茂る森の国で、ともちゃんはクマくんに出会う。
「ねぇ、友達になってくれる?」
ある日、湖いっぱい湖の国で、ともちゃんとクマくんはカエルちゃんに出会う。
「ねぇ、友達になってくれる?」
ある日、大きいキノコがにょきにょき伸びるキノコの国で、ともちゃんとクマくんとカエルちゃんはキノコ坊やに出会う。
「ねぇ、友達になってくれる?」
ある日、雲がプカプカ浮かんでいる雲の国で、ともちゃんとクマくんとカエルちゃんとキノコ坊やはモクモク兄さんに出会う。
「ねぇ、友達になってくれる?」
そうやって、いろんな国に出向いては、「ねぇ、友達になってくれる?」の一言で、ともちゃんは友達を増やしていった。いろんな国のいろんな人種。ともちゃんは、性別も姿かたちも気にしない。
一人が怖いことを知っているから、ともちゃんは誰に対しても優しい。そんなともちゃんに、みんな惹かれていくのだ。
そんな冒険物語は、ずっと続いていく。最後のページは、友達がたくさんできて嬉しそうに笑っているともちゃんの絵だった。
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