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同級生の高木朋子さんが昨日亡くなりました。通夜、葬儀は以下の通りです。
通夜……〇月〇日〇時~
葬儀……〇月△日△時~
場所……〇〇〇
周りの方々に回してほしいです。
こんな連絡が回ってきたのは、ベッドの中で半分夢を見ていた頃だった。枕元に置いてあるスマホがポコン、と音を立てたので、慌てて手に取り画面を見たところ、他人行儀なこのメッセージがでかでかと表示されたのだ。
眠い目を擦り同じ文を三回ほど読み直したところで、ピンときた。
『高木朋子』ってたしか、小中の同級生だ──
『高木さんって、覚えてる?』
『うーん、薄らと……。あの細くて白い子だよねぇ?』
『あー! たしかにいたかも!』
『可哀想だよねぇ。まだ若いのに』
『本当に。みんな行く?』
『あたしは行けないやー……』
『あたしも。申し訳ないけど』
その連絡に、次々とメッセージが続いていく。まるで同窓会にでも行く時のように、そのやり取りは軽やかだ。
『麻衣は? 行く?』
みんなのメッセージをぼんやり眺めていたら、ふいに自分の名前が現れた。みんなの視線が一斉にこちらへ向いたように感じ、ドキリとする。
あたしはふぅ、と息を吐くと、親指をゆっくりと滑らせた。
『あたしは行くかな』
行くつもりなんて本当はなかった。だけど、その名を久しぶりに聞いて、思い出してしまったんだ──
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