待ち人

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愛とか恋とか。純愛だとか一途だとか。そんな言葉が軽率に世の中に蔓延って、世間一般的な幸せの理想像のゴールは結婚だとか。 そんなものばかりが余りに固定概念としてこびりついている世の中。 詰まらない。 恋愛は、結婚をゴールにしなければ達成したこととみなされない、というのもなんだかしっくり来ない。 以前に、恋人同士であることがまず恋愛のスタートみたいな考え方もあまりしたくない。 2年以上。もう、2年以上経つ。 あたしはずっとひとりの人に恋焦がれている。彼はあたしにとって住む世界の違う人で、物理的にも精神的にも触れること等出来ない人だと思っていた。きっと世間からしたら、今も、彼とあたしの関係になんら変化は見えず、あたしが一方的に熱くなっちゃっている様な、そんな歪な恋にしか見えていないだろう。 だけど彼は、世間からは見えない二人だけの世界で、あたしに言葉をくれるようになった。垣間見せる表情も、ふとした瞬間に溢す声も、もう出逢った頃とは違っていた。 人間は、2・3年もすれば物事に飽きる、きっと君だってそうだよ、その、僕に向けた熱量もきっと、数年したら無かったことにするだろう。 彼に恋して1年が過ぎた頃だ、その日はもう時計の針が深夜を回る頃だった。彼はあたしにそう言って言葉を与えた。 あたしは、過去や未来に固執する習性がなく、何より今が大切だった。だから、 今のあたしは永遠に、貴方を愛せると誓うよ、だって今、あたしはずっと、貴方のことが大好きという事実は本当なんだから と、言葉を返した。 彼は少し乾いて笑って、ありがとう とあたしに言った。 そこからまた1年。もう、1年過ぎた。 彼はあたしに当時より心を開いて、自分の夢や、あたしが投げた言葉に幸福を感じると、言葉にして伝えてくれるようになった。 君からの愛を感じるともっと頑張れって応援したくなる、もっともっと僕のことを愛して、僕は壊れるまで最高にクールな僕で居るから、君は壊れるまで僕を心配していて そんな言葉をあたしに与えて。 自分勝手な彼に恋して、時間が緩く流れていく。 何年待ったら、彼はあたしに恋焦がれるだろう。 今のあたしは、何年でも待てると言えてしまう。終りが見えない。終らないもの何てこの世には存在しないのに。 それでも良いから、ふたりだけに理解できる愛だとか恋だとか。 そんなものに笑えたら今は良い。
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