永い一日

3/6
前へ
/6ページ
次へ
突如、耳を支配した沈黙の音。スっと静かに引いてく汗とその直後にやって来た息苦しさ。畳にねじこまれるような体の重み。それはだんだんと激しくなり抵抗する拳に力が入る。 爪が食い込むほどに強く握りしめた拳。その僅かな隙間を辿ってボコン、ボコンと何かが流れてくる。 握れば握るほどそれは反発するかのように、穴を押し広げて体の外へと流れてくる。 全身を刺されるような痛み、焼かれるような熱さ、そして今度は聞いたこともないような低いうなり声が、自分の耳を突き抜ける。  もうこれまでか、そう思ったときそっと近寄る誰かが背中を触りだした。 やめてくれ、あれがますます流れてしまう。痛い…熱い…!うるさい…!さわるな!さわらないでくれ!! 言いようのない恐怖が容赦なく襲い掛かかる。     
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加