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「何の絵本を作っているか分かるかい?」
「うーんとね、『赤ずきん』!」
「大正解だよ」
グランパは口元に蓄えられたひげとともににっこりと笑う。
「さあ、もうひと頑張りだ。リタ手伝ってくれるかい?」
「うん!」
リタが手伝うのは絵を紙から切り離す作業だ。
上手に切るとグランパは褒めてくれるので嬉しくなってたくさん手伝うようになった。
夕方、『赤ずきん』の絵本が完成すると、注文していた母親と女の子が絵本を取りに来た。
女の子はページをめくるたび花が咲いたように笑う。
その表情を見るとグランパもつられたように暖かに笑うのだ。
リタは幼心ながらにその笑顔が絵本を作る力につながっていると思っていた。
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