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後ろの方から、大声で呼びかけられたが、聞こえないふりをして、人混みに紛れた。
確かに、川崎の繁華街はまだ賑やかな彩りを魅せてくれている。
彼らにしたら、逃げるように去る先輩を呼び止めるのは、義務のように思っているのだ。でもそんなお節介はして欲しくない。
本意で誘っていない事くらい分かっている。なぜなら、数年前までは、私もそっちの側に居たのだから。
永松さんに少し多めにお金を渡したのは、この気まずさを打ち消す為でもあった。
そんな事より、急がないと京浜急行快速三崎口行きの最終便が行ってしまう。これを逃すと横須賀辺りでビジネスホテルに泊まるか、高額のタクシー代を払う事になってしまう。
しかし10分後。 不安は杞憂に終わった。無事、5分後に到着した列車に乗車する事が出来た。風の影響で、ダイヤが乱れたおかげだ。
たまたまの偶然だったのか、それとも貴重な運を消費してしまったか……
最近こんなスピリチュアルめいた事ばかり考えるようになった。たぶん無駄に歳を重ねているからに違いない。
その証拠に、本屋にそれっぽい本が平積みされていると必ず手に取ってしまう。
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