第一章 ユナと私

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カシャッ。私の大好きな音が鳴り響く。 「静かだね」 それもそのはずだ。今は朝4時なのだから。 「ヤッホー!」隣で千夏(チナツ)が大声で叫ぶ。 「山じゃないんだから..近所迷惑じゃないの?」 「平気!ここの人たち優しいから!」それに..と千夏は何か言おうとしたけど、すぐに口をつぐみ、突然私のカメラをとり、 「私も撮っていい?」とキラキラした目で聞いてきた。「いいよ」カシャッ。「ぶれた~ムズくない?」 私はもと幼なじみの千夏が住む北海道に来ている。今日は一緒に初日の出を見る。 4時に起きたのは、新しい雪で一番最初に遊んでみたかったからだ。 私のわがままを千夏は許してくれた。きっと私があんなことを言ったからだろう。 昨日の夜、親友だったユナと絶交したことを言った。ユナは千夏が引っ越した後、初めてできた友達だった。ユナと私はこれでもかというほど似ていた。だけど、そのせいで同じ先輩に恋してしまった。ユナは私にその事を打ち明けた。だけど、私は言わなかった。 ユナが離れていきそうで怖かった。ユナはどちらかというと積極的な方で恋はすぐ実った。そして、その日から、ユナの心は私から離れていった。どこに行っても、何をしても先輩の話ばっかり。私は絶交を選んだ。 ユナは、突然無視し始めた私に訳がわからないといった表情だったけど、いつの間にか私に構わなくなった。 6時をすぎると、人があつまってきた。「初日の出だ」「ねむーい」「あっ!ほらほら」いろんな声が飛び交う中、そっとカメラを構える。「わぁきれい」あの騒がしい千夏でさえ静かになった。 雪が光って宝石みたい。 突然私は泣きそうになった。思わずカメラとともに上を向く。カシャッ。空の写真が撮れた。空は正直だ。私も正直に打ち明けていたら、ユナと絶交しなかったの?それとも、どっちにしても絶交したの?空は知っていたの?どうして、私は正直に言わなかったの?涙が一筋流れ落ちた。 「帰るね」私は、千夏に言って帰ろうとした 「ハルカは謝るの?」千夏がこっちを見ずに言った。「本当のこと言えば変わるかもよ」 私の涙が止まる。気付いた、私はただ逃げていたんだ。私は歩きだした。もう下も上も向かない。前だけを見ていく。千夏は静かに後をついてきた。私は見えない扉の向こうに一歩を踏み出した。 終わり
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