第一幕 魔法使い

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薄暗い住宅地にあるアパート。一応新築である。 そのアパートに住む俺はその扉を開け中に入ると、嫁が夕飯を作って待っている____ 訳がない。 あいにく俺は嫁も彼女もいないただのDTである。 今日は12月の25日。つまりクリスマスである。 そして、なんの嫌がらせか知らないが俺の誕生日も12月25日だ。 いじめかな? いじめなのかな? クソが、と小さく愚痴をはくとカバンの中から携帯のバイブ音が聞こえてきた。 『中谷、今日誕生日やんな!!おめでとう!!30やな!』 最期のはいらねぇ、そう送ると『魔法使いになったなおめでとう!』と煽ってくる。 『やかましいわ。』 そう返してスマホを閉じた。 あぁ、そうだった。 30歳までDTだと魔法使いって言われるんだったな…。 …まぁ、祝ってくれる友人がいてくれるだけマシ、か。
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