第3章(脱出)

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 俺は気が付くと、ロープで手首を縛られ、壁を背に座っている。実君が立っていた。 「何がどうなってるんだ? 実君!? 何で、紐で縛ったのに」 「下の名前で呼ぶな! 名字も知らないのか?」 「知らないね。実君」 「だから、下の名前で呼ぶな! 鴨川だ! 鴨川!」 「鴨川……? まさか!?」 「気が付いたか、黒木」  鴨川が来た。 「何で…………裏切ったのか? 鴨川!?」 「昨日、お前が脳ミソ猫の映像をテレビ局に売った事で鴨川一族は滅茶苦茶だ」 「どういう事だ!? 脳ミソ猫と何の関係が……って」  実君と鴨川の頭が割れ、四足歩行をする。 「お前ら化け物だったのか!? 何故、清水を殺した!?」 「人を殺す事で脳ミソ猫に成れるんだよ」 「成ってどうする? 化け物!」 「宇宙に帰られる。鴨川一族は宇宙から来たのだよ」 「待てよ? 昨日、防犯カメラに映った人を集めたのか!? 中村は? カルロスは?」 「2人は生きてるよ。それより、もっと心配すべき人が居るだろう」 「昨日、防犯カメラに映った人…………母さん! 母さんは生きてるだろうな!?」 「野球は好きか?」 「何!? そんな事より、母さんは?」 「野球は好きか?」 「分かったよ! 受刑者のレクリエーションだろ!」 「ああ! 服役中の唯一の楽しみだった!」 「ブタ箱に入ってたのか。それで、母さんは?」 「人の話を最後まで聞け!」 「どうしろって言うんだ?」 「テレビ局へ行って例の映像を取り戻せ!」 「そんなの、今頃、映像はSNSで拡散されてるよ。頭弱いな~」 「何だと!?」 「それくらい、考えておけよ。マイナーなUMAだ。誰も本気にしないさ」 「僕の姿がハッキリと映っている!」 「どうしようもないよ」  実君と鴨川は「グー!」と鳴き、四足歩行で走り回る。 「イカれてる…………今の内に、ロープを」  俺は歯で手首のロープをほどこうとする。結び目が固い! 汗で滑る。  すると、バキッ! 「ぐあっ!」  知らないオッサンが現れ、バールで実君の脳ミソを殴る。 「化け物め!」 「誰? もしかして、脳ミソ猫を跳ねた、ドライバー?」 「何の事だ? 気付いたら、閉じ込められてて」  俺はなんとか結び目をほどく。 「もう1匹も退治して下さい!」 「ああ、任せろ! この化け猫が!」  バキッ! オッサンは鴨川の脳ミソも殴る。
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