第1章(イタズラ)

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母さんは家に入っていった。すると、自販機の前に自転車が停まる。実君か!? しかし、居たのはクラスメートの清水だ。コイツは柔道部だが3級。俺にライバル心を持ってるようだ。 「よう、お坊っちゃん」 「よう、ダメ人間」 「何だと!? 折角、売上に協力してやろうとしたのに」 「拗ねるなよ、乙女か、アハハ」 「お前、ムカつく」  そう言い残し、清水は何も買わず、帰っていった。もしかしたら、イタズラの犯人は実君じゃないかもな。清水も怪しい。まあ、防犯カメラが証明してくれるさ。  俺は自宅に入り、朝御飯を食べる。納豆卵かけご飯だ。10時45分、これじゃ、昼食を抜くか。 「ヒロ。食べ終わったら、私の書斎に来なさい。防犯カメラの録画を見るやり方を教えるから」 「は~い、分かった」  俺は片付けて、父さんの書斎に行くと、母さんも居た。何やら揉めてるようだ。 「出張? カメラを取り付けたばかりなのに」 「済まないね、家はヒロに守ってもらおう」 「父さん、また出張するの?」 「ああ、平塚市に数日、行く事になった。緊急らしい」 「仕事なら仕方ないね。母さんは任せて!」 「あなた、今日カメラを取り付けて良かったわ」 「そうだね。ヒロ、こっちに来なさい」  俺はデスクのノートパソコンを見る。 「これに録画されるの?」 「そうだよ。ヒロの携帯電話でも録画した物を見れるように、アプリをダウンロードしてくれ」 「分かった」 「防犯カメラはもう起動してるよ。さっき、母さんとヒロが映ってたね。それと2人の少年、自転車に乗った少年」 「清水か。そう言えば、部活に行く時は自販機の前に発泡スチロールの箱が置いてあったけど、帰りにはなかったよ。実君かも?」 「実君? 気持ち悪いわね」 「まあ、これでイタズラの真実が判るだろうね」 ――次の日の朝、父さんは車で飯田支社に行って、それから社用車で平塚市へ向かうようだ。タイヤメーカーの管理職は大変だ。  俺は防犯カメラの録画された物を早送りで観ていた。すると、画面に白いモヤが、映ってた。 「なんだ、これ? 母さん! ちょっと来て!」 「どうしたの? ヒロ」 「防犯カメラにお化けが映ってた」  俺は母さんにパソコンの画面を見せる。 「何これ、幽霊?」 「2時頃の映像だよ」 「丑三つ時? 気持ち悪いわね」  俺は更に録画を見る。 「朝方は……何これ? 脳ミソ猫か!」
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