0人が本棚に入れています
本棚に追加
次の日の朝、俺は目を覚ますと、見知らぬ部屋に居た。暑いな。冷房が効いてない?
「どこだ、ここ……」
「黒木!? 黒木か?」
「その声は鴨川!?」
カチッ。鴨川が天井の電気を点ける。眩しい。
「やっぱり、黒木か」
「鴨川。どこなんだ、ここ?」
部屋はゴミが散らかっていた。窓もない。壁には甲子園のポスターが貼ってあり。マジックで×印が大きく描かれていた。
「解らない。朝だと思って起きたら、ここに」
「誘拐か!?」
「もしかしたら…………」
「俺達、2人だけかな?」
「他の部屋にも行ってみよう」
「ゆっくり開けろよ、ドアを」
ガチャッ。鍵は掛かってないようだ。一安心。
「階段だ。地下か」
「俺が先導する」
「大丈夫か? 黒木」
「実力は柔道初段だ」
俺達はゆっくりと階段を上がる。廊下には電気が点いていた。すると、ドンドンドンドン!
「ドアを叩く音だ」
「俺達以外にも誘拐された奴が居るって訳か」
「黒木、窓を見ろ。外が暗いぞ」
「ホントだ、まだ夜なのか? 取り敢えず、閉じ込められてる奴を助けてやろう」
「よく見ろ。窓に鉄格子だぞ」
「何!? 厄介だな」
「窓からは逃げられないな」
ドンドンドンドン! 外鍵? 閉じ込める気満々って訳か。
「今、助けてやるからな~」
カチッ。
「うわー!」
2人の少年がホウキを振り回してきた。
「落ち着け! 敵じゃない。ってカルロスと中村!?」
「くっ、黒木先輩? 鴨川先輩?」
「サッカー部が4人……偶然じゃないよな」
「一体何がどうなってるんですか?」
カルロスは半泣きだ。
「サッカー部員を狙った誘拐かもしれん。とにかく、力を合わせて脱出しよう」
「誘拐!? 相手は大人ですか?」
「多分な。しかし、サッカー部員を誘拐して何をしようって言うんだ」
「武器になる物はホウキだけ? 他にないか?」
「はい、他に目ぼしい物はありません」
中村はうつむく。
「取り敢えず、隣の部屋を見てみよう」
俺はゆっくりとドアを開ける。この部屋は電気が点いていた。
「黒木、ここにも甲子園のポスターに×印が描かれているな」
「相当、嫌いなんだろう。というか、閉じ込めて置いて、何で俺達の部屋は鍵が掛かってなかったんだろ?」
最初のコメントを投稿しよう!