第三章 助け合い

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宿泊地から出発した私たちは、その後夜鬼とも出逢うことなく、順調に足を進めていた。 「そろそろお昼にするですか。」 菜奈のその一言で一気に皆の緊張していた空気が緩んだ。 私も菜奈達と昼食の準備を進めながら、いつまでも消えないあの夢の事を思い出していた。 そんな私の様子に気づいて、菜奈が私の顔を覗きこんできた。 「まだ、昨日のこと気にしてるですか?」 「うん、あれが正夢になったらどうしようって………。」 そんな私の言葉を聞いて、菜奈は少し考え込んでからこう提案した。 「じゃあ、こうするのはどうですか?夜鬼を見つけ次第、私と白瀬さんですぐにでも殺しにかかります。そうすれば犠牲者も出ることはないと思いますが。」 「そんなことして大丈夫なの?他の夜鬼たちが集まってくるんじゃ。」 「その可能性は低いと思います。奴らには耳がない。なら、"音を聞く"ということもできないでしょうし、例えそれと類似した事ができるとしたら昨日私たちが応戦した時点で周りから集まってくるはずです。」 そこまで聞いて、私は納得したように頷いた。  「とにかく今は、先に進んでみないとわかりません。それに私達の本来の目的は東京へ行くことであり、夜鬼を殺すことではないですから、心配せずとも安全ルートで行動するつもりです。」 それを聞いて私は安心した。菜奈がそう言うのなら安全なんだろう。そう確信して、「うん、わかった。ありがとね、菜奈。」それだけ言い残し、私は恵実とお姉ちゃんの方へ歩いていった。
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